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日本酒 Sake/Saquê

日本の主要穀物である米と豊富な軟水を原料とした醸造酒です。
古より工夫が重ねられつつも、一部の支配階級のものであった日本酒は、
鎌倉時代すなわち13世紀ごろから徐々に庶民にも親しまれるようになり、
桃山時代つまり16世紀末頃までに徐々に大衆化が進みました。
特に戦国大名が群雄割拠する15世紀末から16世紀末にかけて、
酒造技術は日本各地に伝わり、地域に根ざした「地酒」の多様性の背景となっています。

日本酒は、日本の生活習慣や食に溶け込んでいて、ラベル表現、
表示方法、容量などは、もっぱら日本の基準で作られています。
今世紀に入り、和食の世界的な広がりとともに徐々に世界でも親しまれるようになり、
ラベルの表記も顔つきも、国際的な文脈に向けて変わり始めています。
探求しながら楽しめる、奥行きを持つ酒です。

製法

蒸した米に麹を投じて起こる糖化発酵と、酵母の作用によるアルコール発酵が並行して進む並行複式発酵によってつくられます。原料米の種類、精米度合い、麹や酒母中に培養・添加される酵母の種類、仕込み水の質や工程管理によって、複雑多彩な味や品質の差異が生じます。酒作りは「杜氏」と呼ばれるリーダーの経験と感覚に差配されてきましたが、近年では高度な製造管理技術によって、目的とする品質を実現する方向に移行しつつあります。

種類

日本酒には、精米の歩合、および醸造アルコールの添加のあるなしによって、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、本醸造酒、など様々な種類に区分されます。近年は原料米の精米歩合をあげて、高い香味を志向する大吟醸が盛んにつくられるようになりました。一方で、純米酒の淡麗さや辛口の落ちつきに日本酒の風格を求める声も少なくありません。今後世界で愛好されることによって、さらに多様な展開が期待されます。

  • 日本酒の種類

飲用温度

日本酒は幅広い温度帯で飲用されてきました。特に加熱して飲むことを「燗」といい、寒い冬の時期に好まれてきました。また夏には冷やして飲む「冷酒」も一般的になってきました。いずれの場合も、湯や氷を日本酒に投じることはなく、酒器ごと湯に入れたり、氷に浸したりして温度管理を行います。一方で酒質を重んじる酒は常温で飲まれる傾向にあります。

  • 熱燗・冷酒の飲み方
  • 熱燗・常温・冷や
  • 熱燗
  • 常温
  • 冷や
  • 熱燗・冷酒の飲み方

  • 熱燗・常温・冷や

  • 熱燗

  • 常温

  • 冷や

酒器

大吟醸のような香味の高い酒は、ワイングラスのようなガラス器の壁体に酒を回して香りを楽しむ飲み方が適していると言われます。一方で、日本の酒器は陶磁器や漆器が多く、淡麗さやどっしりと落ち着いた風味を堪能するには陶磁器の猪口やぐい呑みが適しています。舌の上の官能のみならず視覚や空間、指先の感覚も含めての飲酒の文化です。

  • もっきり
  • 陶器の酒器
  • 磁器の酒器
  • ガラスの酒器
  • 漆塗りの酒器
  • もっきり

  • 陶器の酒器

  • 磁器の酒器

  • ガラスの酒器

  • 漆塗りの酒器

酒と儀式

婚礼には「三々九度」という儀式があり、大中小一組の塗物の杯に酒を注ぎ、女が三度、男が三度、再び女が三度の合計九度の飲酒が行われます。夫婦および親族の意識の結束をはかる儀式です。また酒宴においては主と客の間で杯を交わし、飲酒を通しての形而上的な交感が行われてきており、今日の飲酒における礼と儀式性の背景をなしています。

  • 三々九度
  • 鏡開き
  • 三々九度

  • 鏡開き

居酒屋・赤提灯・立ち呑み

飲酒は心の開放や人との懇親、あるいは自己と向き合う充足を味わう営みであり、こなれた食とともに庶民にこれを供する場所が自然に育ってきました。日本と日本酒においては「居酒屋」「赤提灯」あるいは「立ち呑み」と称される場所がその典型です。人気のある店は混雑していて入りにくい印象がありますが、ここで得られる飲食体験は、料亭では味わえないものです。

  • 鍵屋|根岸

  • 鍵屋|根岸

  • 鍵屋|根岸

  • 鍵屋|根岸

  • 鍵屋|根岸

  • みますや|神田

  • みますや|神田

  • 日本再生酒場|新宿

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